のび太が100点をとったことが一度だけあるのですが、しかもその問題が小4にしては難易度の高い算数の問題であることから、以前から話題になっていました。SNSではその問題内容にばかり話題が集中しているようですが、実はこの話ものすごく深い話なのではないでしょうか。
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目次
単行本25巻第6話のあらすじ
コミック25巻に掲載されている『な、なんと!! のび太が百点とった!!』という話のあらすじはこうです。
「ユメじゃないか。」と自分でも疑ってしまうほど0点ばかりののび太が、なんと100点をとってしまうというところから話はスタートします。
先生に確認したところ、初めは疑ったというが、何度も確認したところやはり間違いないらしいと先生からもお墨付きとお褒めの言葉を頂きます。
うれしくなってスネ夫やジャイアンにも自慢しようとしますが、信じてもらえません。
偶然会った静香ちゃんにはそれとなしに100点をとったことをほのめかしますが、0点をとったと勘違いされる始末。
いつも怒られているママには一刻も早く喜びを共有したいと帰宅早々に答案用紙を見せようとしますが、頭痛がするのでテストのことで更に気力を使うのは嫌だと、やはり悪い答案だと決め込んで聞く耳を持ちません。
無二の親友ドラえもんならば・・・、期待も虚しく親友には「ついにカンニングしたか。」と100点の答案に何らかの不正があったと疑われてしまいついに泣き出してしまいます。
のび太を傷つけたと反省するドラえもんは「ピーアール」というひみつ道具でみんなにのび太が100点をとった事実を信じさせ、のび太くんの100点の答案を褒めてもらおうとしますが…
ひみつ道具「ピーアール」の言葉がとっても意味深
「どんなことでも人にしらせ、信じさせ、望みどおりに反応させるのがボクの仕事です。」と登場するピーアール先生。レベルは、『上、中、並、特上』の四種類あるとのことで、ドラえもんは特上コースを希望します。
まずはママからとお願いされたピーアール先生のお言葉
「人間は、新聞やテレビのいうことをすぐに信用するものです。特上放射線でアナウンサーにしゃべってもらいます。」
これには参りました。子ども時代には読み飛ばしてしまいそうな内容ですが、実はとんでもない啓蒙的な言葉なのではないでしょうか。
そして、テレビを見たママは、本人が見せようとしても関心をもたなかった答案の内容に涙を流して喜ぶのです。
特上には更に上のレベルが要求される
アナウンサーに原稿を読ませるぐらいでは生ぬるいというのです。孔明並の策士でいらっしゃるピーアール様は更にこう続けます。
「この程度では特上とは言えない。偉い人に喋らせると、もっともっと効果があがるのだ。」
そこでテレビで特上大学教授の江来博士(えらいはかせ)にのび太の100点がどれほどの偉業か説明させると効果覿面、パパも「テレビでみた!!」といってはしゃいで帰って来ました。
騒ぎはある程度大きくなればあとは放っておいても大騒ぎになる
「騒ぎはある程度大きくなれば、ほっといても更に大騒ぎになる。」
こうして、テレビの特別番組版がのび太の友人や両親をも巻き込んで宣伝活動をすすめていきます。のび太にまるで関心のなかったジャイアンたちも、すすんでテレビ出演に加わります。国会では「のび太記念日」なるものまで制定され収拾がつかなくなってくるというところで、初めてのび太は昼寝からおき、事態の深刻さに気づきます。
自分で幾らアピールしても誰も関心を持ってくれなかったのに、昼寝中にテレビで流されるとあっという間に大騒ぎになってしまっていたというところが、皮肉的です。(ちなみにアニメではニュースは日本のみならず、地球規模で伝播されます。)
マスメディアの脅威や心理学的な内容に感じられる
ピーアールは果たして遠い未来に開発されるひみつ道具なのでしょうか。私にはむしろ、20世紀の当時を揶揄した内容の様に思われます。今日もテレビ朝日やTBSでは誰かがピーアールを乱用したみたいで、「とりあえず都知事には蓮舫推しで。」とお願いされたようです。しかし、違う局のもちろん違う番組で、同じ女性にインタビューしてどちらも採用とか・・・。
アフェリエイト報酬やPVアップを狙うブロガーさんたちも必読の回
当時は炎上商法だとか、ステマだとかそういう言葉がなかった時代ですが、ピーアールの言葉はネット商法の真をついているとも考えられます。恐るべしドラえもん。
確かに地道に3ヶ月毎日記事を書き続けるより、有名人に報酬を払って、ブログを宣伝してもらうほうが効率がいいですよね。自分で自分の宣伝をしたって、誰も信用しないので、ペニーオークションの様に他人に大々的に宣伝してもらうのは本当に効果がありました。
最後にはピーアールで関心を買うのをやめて、ママに百点をとった事実に対して正当な評価を受けるというのも、ブロガーへの戒めですね。某ブロガーの様になっていないかという、過去からのお告げ。
おまけ
誰かを褒めるなら、直接褒めるのではなく第三者を通して褒めるのがいいという間接強化はよく使われる手法だと思います。
25巻の話では、直接伝えると信じてもらえず、テレビを通してだとみんな嘘の様に信じ込んだということですが、実際にはテレビだとなんでもいいというわけではないようです。
中国でのことです。中国人が何度も聞いてくるおせっかいな質問がありました。
「何で日本人は過去の過ちを謝らないの?ドイツの首相みたいに謝罪しないから本当に腹が立つ。」
というもの。
「そんなことはない、何度も今まで公の場で謝罪しているよ。」と答える私。
「そんなニュースきいたこともない。嘘をつくな。」と聞く耳をもたない中国人。
外務省の村山談話や河野談話のページを見せてあげました。
「日本語わからない。」
英文訳もあるので、英文も見せました。
「中国人がみないといみないのに、何で中国語がないんだ!」と怒る中国人。(※今は中国語もありますが当時はありませんでした)
「うるせー、ドイツ人が中国語で謝罪したのか!」と息巻く私。
「大体日本政府のウェブサイトなんか信じられない!」とかいっちゃう中国人。
幾らでも英語サイトも見つかるし、欧米のニュース番組が伝える動画もみせましたが一向に信じません。残念なことにのび太の先生の様に自分で事実の確認をするということを全くしません。
私と日本、アメリカと日本、欧米と日本が利害関係にあるからニュースに信憑性が全くないのでしょう。ですから、テレビや新聞なら何でもいいということではなく、中国人に公平であるはずだと思っている中国メディアのニュース以外は彼らは全く信じられないのです。困った民族ですが、25巻のこの話を読んで全て納得いきました。