沖縄の喜屋武岬へ来たこともある『ジョン万次郎』大先生のふるさと中濱村を訪れました。足摺岬は英語を学ぶ人にとっては聖地とも呼べる場所ですが、高知市内から2時間以上かかる場所にあるため中々行くことができませんでした。今回長い休日を利用して念願の足摺岬を堪能することができました。感激です!
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ジョン万次郎って誰?
万次郎先生は、福沢諭吉や勝海舟のように自らの意志で海を渡ったわけではありません。ある日漁をしていた船が難破し、150日近いサバイバル生活を海の孤島鳥島で過ごした後、米国の捕鯨船に助けられそのまま米国に渡り、米国はおろか7つの海を完全制覇すること数回、堪能な英語力だけではなく日本に最先端の航海術をもたらした大先生です。
海を渡ろうと決心して米国留学したわけではありませんが、捕鯨船の船長に拾われてからは勤勉に勉強しています。同じく遭難した同郷の仲間は帰国したり、ハワイでそのまま永住したりしていますが、万次郎先生は好奇心と向学の塊のような人でそのまま米国で学ぶことを船長に願い出ています。
その意を汲んで家族の様に扱い、教育を受けさせてくれたウィリアム・H・ホイットフィールド船長もまた素晴らしい人です。日本人は長崎の異国人を見ると、異人だ、毛唐だ、南蛮人だ、天狗だと好き勝手をいっていた時代に、人命救助をしたばかりでなく手厚い待遇でここまで万次郎を育てあげてくれたのですから、並の人ではありません。
万次郎の何がすごいの?
ジョン万次郎こと中濱万次郎のふるさと中の浜から車で約20分ほどのところには『ジョン万次郎資料館があります』。規模の割には400円と少々お高めですが、なんとこちら『撮影OKなんです』。
貴重な資料を画像として保存できるのはすごくありがたい!
隅々まで見ると時間のかかる資料も画像に残しておき、細かい説明をじっくり読み返すこともできてとても便利です。足摺岬は中々これない場所ですから、これは本当にありがたいです。
万次郎の何がすごいんだという話に戻すと、1800年代、黒船が来たぞと慌てふためいているような日本に英語だけでなく、航海術、造船技術、数学、写真等様々な技術と知識を持ち帰ったことです。そしてそれを米国で学び、副船長を任されるほどの実践まで積んでいる点です。
勝海舟さんは、大変大きな志をもっていても、現場での経験が皆無でしたので咸臨丸での船出の際も船酔いで使い物にならず、実際に初航海時、船に指示を出したのは万次郎先生でした。
専門的技術を要する英訳もできる貴重な人材
今では小中高、そして大学でも英語をかじるので簡単な英会話ぐらいは皆さんお手の物でしょう。しかし、通訳や翻訳の世界、またはビジネスの世界で「お元気ですか?」「はい、元気です」なんてできても何の役にも立てないし飯の種になりません。
しかし、万次郎先生は航海術、造船技術、数学など英語のいろはに加えて更に一歩も二歩も進んだ専門的な英語ができたのが驚きなんです。現代においても、米国留学をした何人の学生が専門知識を習得して日本に帰国しているでしょうか。ほとんどがTOEICでの高得点やMBAの取得がメインで、米国にいて米国の専門技術をマスターして帰国するというパターンは本当に数えるほどでしょう。これを150年前にやってのけた人物を偉人といわず何といいましょうか。福沢諭吉が1万円札なら、彼は10万円札ぐらいの価値があります。
日本での英語史だけでなく、米国での英語史としても大変貴重なのではないでしょうか。今のスタンダードな発音はメディアの発展と共に広く普及していますが、当時のマサチューセッツの英語の発音などを知る数少ない資料だと思われます。Summerが「ソァムマル」になっていたり、今でもインド人はRをはっきり喋りますが当時の米国英語も地方でそのような訛りがあったのかもしれません。
これは実際万次郎が書いた筆跡ですが、美しいですよね。芸術の域です。
欧米式のペン習字でしょうか。こんな手紙をもらうと飾りたくなってしまいます。一つ一つが美しい曲線を描いています。ここまで文字文化を進化させてきたのですかからPCでのフォントも疎かにせず、日々洗練されていくべきだと感じます。
ちなみに名誉館長はビビる大木さんだそうです。2003年ごろから幕末の歴史人物に興味を持ち始めたという名誉館長さん。
生誕150周年だか、来沖100周年だかの記念で出された伝記本で私は初めて万次郎先生のことを知った新参者ですから、きっかけは名誉館長とあまりかわりませんね。名誉館長さんには知名度を活かして、どんどん万次郎先生のことを広めて頂きたいです。
井伏大先生もジョン万次郎先生のことを書かれていますので是非ご一読を。
ジョン万次郎に興味がない?
いやいや、そういう方でも楽しめるのが足摺岬です。何をするというわけでもなく、ツーリングにでかけたり、写真を撮ったり、釣りをしたり、それだけで楽しいところなんですよ。
道なき道をかきわけて、海へでれば
そこはもう絶景の太平洋です。英語の歴史なんて興味なくても、ここに来て見ればいいじゃないですか。
いつもは島影のみえる瀬戸内海の海ばかりみているので、こういう水平線はすごく新鮮です。
にっぽん丸の寄港も広大な太平洋だと迫力が増しますね~。
実は四万十川も近い
近いというか、ず~っと四万十川を抜けて海に出るので「近い」というのは若干語弊がありますが、有名な佐田の沈下橋もすぐ近くです。足摺岬から1時間ほどでいけます。
ハイシーズンでもここまで辺境の地に来ればディズニーランドやUSJのように何時間も待つってことをしなくても四六時中自然を満喫できます。四国最高です。
青いポストが珍しいな~なんて覗いてみるとまたまたジョン万次郎ゆかりのポストだったり、足摺岬周辺ではたくさん万次郎先生の息吹を感じることができました。オジサンは終始感動しまくりのシルバーウィークとなりました。