from:深圳市艾能可电子商务有限公司
先日Bluetoothスピーカーのレビューの件で連絡頂いたEC Technologyさん。どのような会社か気になったので調べてみました。すると、従業員数わずか30人で総売り上げが5000万元(約9億6200万円)に達していることがわかりました。すごい!しかもこれは2014年度の報告ですから今年度は一体どれほどの売り上げになるのか・・・
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目次
まずは異常な成長振りの略歴をご覧下さい
2012年
【誕生編】
2012年3月6日、艾能可电子商务有限公司として深圳市に正式に設立される。
同年4月3日、アメリカ事務所設立。
同年5月1日、艾能可の自社ブランド『EC Technology』が正式に米アマゾンに進出。
立ち上げたばかりの若い企業ですが、電子ビジネス界に足を踏み入れここから新たな会社の歴史をスタートさせます。
2013年
【市場開拓編】
2013年8月、艾能可の自社ブランド『EC Technology』が英国アマゾンに正式に店舗を開設。
2013年末、EC Technology(艾能可电子商务有限公司)は従業員数10人足らずにもかかわらず、3000万元(約5億7千万円)の売り上げを達成。
なんと立ち上げから1年半程でここまで巨額の売り上げを達成しています。ビッグダディのような大家族なら優に超えてしまう従業員数で成し遂げたというのですから信じられません。AukeyのCEOもドイツ留学中に2億ぐらい稼いでますから、10人でもノウハウが蓄積された今なら効率よく達成できるのかもしれませんね。
2014年
【グローバル市場大躍進編】
2014年3月、艾能可の自社ブランド『EC Technology』が独アマゾンに正式出店。
2014年7月、艾能可の自社ブランド『EC Technology』が日本アマゾンに正式出店。
2014年10月、艾能可の自社ブランド『EC Technology』が仏アマゾンに正式出店。
2014年末、EC Technology(艾能可电子商务有限公司)は30人しかいない職員にもかかわらず、5000万元(約9億6200万円)の売り上げを達成する。
そしてこの年EC Technology(艾能可电子商务有限公司)は世界最大のネット市場Amazonにおいて売り上げトップ3にランクイン入りを果たしています。
成功の秘訣はやっぱり『借船出海』
ビジネスのやり方はAnkerやAukeyと同じ「借船出海」です。これは読んで字の如く「船を借りて海へ出る」ということですが、この場合「借りる船」はAmazonの巨大マーケット、信頼、運搬ルート、販売網、販売システム等もろもろです。海はこの場合電子機器マーケットですね。
考えてみてください、これを全て自分のところでやろうとすると大変ですよ。商品を開発するだけでなく、ウェブを立ち上げて、決済システムを構築して、搬送ルートを考えて、運送業者と契約を結んで・・・想像しただけで起業を躊躇います。
しかし、その全てをすでに構築しているAmazonやebay等を利用すればあっという間に全国に展開するヨドバシやビックカメラ、ヤマダ電機等に匹敵する巨大市場を手に入れることが可能になります。むしろ、従業員数5000人を抱えるヨドバシはそれだけの人件費が必要になるので不利にさえなります。店舗の土地管理(個人ならこれだけでもお手上げでしょう)、店内のインフラ整備、維持費にかかる光熱費、増税で消費も停滞気味。一体どれだけの費用が流れ出ているのかこちらも想像ができません。
※蛇足ですが、米国の核の傘下で自由に振舞う日本の様子も「借船出海」と揶揄されます。「人の褌で相撲をとる」や「虎の威を借る狐」の意味で使える便利ワードです。
商品の知名度は個人ブロガーでカバーする
意気揚々と日本のAmazonに進出しても、EC Technologyなんて誰も知りません。実店舗にもおかしてもらえるはずがありません。ではどうするか?
会社を回って商品をアピールする?一軒ずつお宅を訪問して実演販売?このネット社会、それでは効率が悪いですよね。
そんな効率の悪いことはやめて個人ブロガーに大量サンプルレビューのお願いです。私のような無名ブロガーのところに依頼があるぐらいですから、レビューを書いていると思われるブログには手当たり次第チェックをいれていると思われます。
それでも、一人の従業員が一つ一つ会社を訪問するよりはよっぽど効率が良いですよね。無料で商品を提供して、そのブログを訪問する人が1日1000人でもいればすごい宣伝になるはずです。数千円の商品を渡すだけで、何千何万というブログ訪問者に自社の製品が宣伝できるんですから、テレビで広告を流したり、店舗に頭を下げて商品を置いてもらうよりもずっと良いです。
私の場合『悪いレビューを書かないで下さい』とは一言も言われませんでしたが、タダで頂いたものなのでどうしてもいつものように辛口レビューはできなくなってしまいました。それも狙いかもしれません。もちろん一定のクオリティーがあってこそできることですが、こうしてどんどん良い評価が口コミで広がっていきます。
有名ブロガーさんであれば、集客率も信頼もぐっとあがるでしょうしかなり効果的な宣伝方法だと思います。通販番組で執拗に使う「あの○○さんも推薦」だとか、「何十年も悩んでいた腰痛がうその様に治りました」、「油汚れがこんなにスッキリ!」という手法に似ています。
Amazonレビューは何よりも重視
Amazonでの売り上げを伸ばすにはもちろん商品レビューで良い評価を獲得するのが一番です。
品質、機能、デザイン、価格、人の優先する評価は様々です。でも購買の最後に大きな一押しとなるのが「レビューの評価」でしょう。
EC Technologyもその点を特に重視していて、Amazonに少しでも悪いレビューがあれば返信をくれます。以前は売りっぱなしで何もしない海外メーカーは多かったのですが、最近は日本メーカーよりも対応が早いぐらいです。そしてこの地道な努力がユーザーを納得させているのです(中にはあからさまに「評価上げて」というメールがくることもあるらしいです)。
30人体制とはいえ集める人材がおもしろい
人材募集のページをのぞいて見ました。会社の求人ページです。電子製品管理というわかりやすいのもありましたが「貴金属製品管理」というのもありました。アクセサリー類も今後展開していくのでしょうか。
他には上述の通り各国のAmazon市場を開拓しているので、ドイツ語、フランス語、英語のできる要員を募集しているようです。イタリアはまだ出店していないところですがイタリア語の募集もあったのでイタリア進出も狙っているようです。そしてスペイン語もあったので、スペイン語圏のメキシコ、ブラジルといった今後伸びてくる市場の開拓も視野に入れているのでしょう。Amazonというぐらいだからいつかは本場ブラジルを目指したいものです。
SNSやウェブ解析専門チームがいる
SEOやSEM対策チームがいるようです。もちろん海外向けの。Google Adwords、Google Analyticsに精通していること等の条件があり、ブロガーの転職先にはぴったりですね(笑)。その他「Facebook,Twitter,Youtube,Flickr,Google+」等のSNS専門の要員も募集しています。起業当時からの世界戦略を窺い知る事が出来ます。
本拠地『深圳(シンセン)』という土地の利
過去記事でも言及しましたが、MITメディアラボの所長が学生を実習に連れて行くほど魅力的な場所が深圳です。
統率のとれていないシリコンバレーとでもいいましょうか、ここでは中国のいいかげんっぷりが消費者に大変有利に働いています。Anker、Aukey、EC Technologyのパッケージや商品ラインナップをみると「おそらく出所は一緒だろうな」と容易に想像ができます。その「出所」は深圳にあるはずです。アップルの商品を組み立てるフォックスコンの工場があるだけでなく、様々な最新技術が深圳には終結しています。更には列車や車で1時間もかからない距離に香港があり、中国と香港の良い面悪い面を補完できる土地になっています。UPQやFREETELもおそらくこの辺りで発注をかけていると思いますが、出荷で問題が起こったり、品質上問題があったりと日本と中国との距離や文化的な面で不利になっていると感じます。
今後もこの『借船出海』の方式で市場を奪いに来る中国企業はどんどん増えてくると思いますが、『オリジナリティー』という面では今ひとつ成長が止まっている気がしています。質、価格でかなり高水準にあるだけに残念です。ここに日本のメーカーがおもしろい商品を投入して「iPhone」が起こしたような一大革命を起こしてほしいところです。